モバイル / IoT セキュリティ

GPS

約 5 分で読めます

GPS とは

GPS (Global Positioning System) とは、米国が運用する人工衛星を使った測位システムです。衛星測位システム全体を指す総称は GNSS (全球測位衛星システム) で、GPS はその一つにあたります。ロシアの GLONASS、EU の Galileo、中国の BeiDou、日本の準天頂衛星みちびき (QZSS) も GNSS に含まれ、多くのスマホは複数の系統を同時に受信して測位に使っています。

GPS の基本配置は「24 スロット」です。地球を取り巻く 6 つの軌道面に 4 スロットずつを割り当てることで、地上のほぼどこからでも 4 基以上の衛星を見通せるようにしています。なぜ 4 基必要かというと、求めたいのは緯度・経度・高度の 3 つでも、衛星までの距離は受信機側の時計のずれを含んだ値として測られるためです。時計の誤差も未知数として一緒に解く必要があり、未知数が 4 つになるので信号も 4 基分が要ります。

GPS の精度と補完技術

測位の精度は受信環境で大きく変わります。米国政府の GPS 公式情報 (GPS.gov) は、上空が開けた場所ならスマートフォンの測位はおおむね半径 4.9 メートル以内に収まるとしつつ、建物や橋、樹木の近くでは精度が落ちると説明しています。ビルの壁で反射した信号を受け取ると衛星までの距離が実際より長く計算されるため、市街地では現在地が道の反対側や隣の通りに飛ぶことがあります。

スマホはこの弱点を補うため、Wi-Fi アクセスポイントや携帯基地局の位置、加速度センサーやジャイロがとらえた動きの情報を組み合わせて測位しています。屋内では衛星信号が届きにくいため、Wi-Fi や Bluetooth ビーコンによる屋内測位が併用されます。

もう一つの補完が A-GPS (Assisted GPS) です。衛星がどこにいるかという軌道情報は衛星自身も送信していますが、その低速な信号を受け取り終えるまで待つと、最初の測位までに時間がかかります。A-GPS は同じ情報を携帯回線や Wi-Fi 経由で先に受け取り、受信機を暖機した状態にしておきます。地図アプリを開いた直後に現在地が出るのは、この下準備が効いているためです。

位置情報とプライバシー

位置情報は機微な個人データです。行動パターンから自宅や勤務先を推定できるため、アプリごとの位置情報許可を適切に管理することが重要です。

  • 「常に許可」はナビアプリなど本当に必要なアプリのみに限定する
  • 「使用中のみ許可」をデフォルトにする
  • iOS 14 以降と Android 12 以降では、アプリに渡す精度を「正確な位置情報」と「おおよその位置情報」から選べる。番地単位の精度が要らないアプリには後者を選ぶ
  • 写真の位置情報 (Exif) を SNS 投稿前に削除する

GPS と GeoIP の違い

GPS は衛星信号を受け取ってデバイス自身が位置を計算し、上空が開けていれば数メートル前後まで絞り込めます。一方 GeoIP は IP アドレスから市区町村レベルの位置を推定する技術で、絞り込める範囲の桁が違います。当サイトのトップページで表示される位置情報は GeoIP によるもので、GPS ほどの精度はありません。

位置情報がどのように特定され、ネット上で利用されているのかを掘り下げて知りたい方は、ネットはなぜあなたの居場所を知っているのか - IP アドレスと位置情報の仕組みもあわせてご覧ください。

よくある誤解

GPS で常に監視されている
GPS の受信機は衛星からの信号を受け取るだけで、衛星に向けて電波を送り返すことはありません。「GPS で追跡される」と言われる場面で実際に位置を送り出しているのは、端末上のアプリや OS の位置共有機能であり、GPS の電波そのものではありません。
位置情報をオフにすれば居場所は分からない
GPS をオフにしても、Wi-Fi や携帯基地局からおおよその位置を推定される可能性があります。通信に使う IP アドレスからの推定 (GeoIP) も別経路として残ります。

GPS と GeoIP の比較

GPS

衛星信号をデバイス側で受信して測位。上空が開けていれば数メートル前後まで絞り込めるが、屋内やビル街では精度が低下。

GeoIP

IP アドレスから市区町村レベルを推定。サーバー側で判定。VPN 使用時は不正確。

共有する

関連用語

関連記事