GPS は「宇宙からの信号で位置を測る技術」

Google マップで道案内、ポケモン GO で歩き回る、Instagram に位置情報を付ける。これらはすべて GPS のおかげです。GPS (Global Positioning System) は、地球の上空約 2 万 km を飛ぶ人工衛星からの信号を使って、自分の位置を特定する技術です。

もともとはアメリカ軍が開発した軍事技術ですが、1983 年に民間にも開放されました。現在は 31 基の GPS 衛星が地球を周回しており、世界中どこにいても無料で使えます。

GPS の仕組み - 3 つの衛星で位置が分かる

GPS の原理は意外とシンプルです。

  1. GPS 衛星が「今の時刻」と「自分の位置」を電波で送信する
  2. スマホが複数の衛星からの信号を受信する
  3. 信号が届くまでの時間から、各衛星までの距離を計算する
  4. 3 つ以上の衛星からの距離が分かれば、三角測量の原理で自分の位置が特定できる

実際には 4 つ以上の衛星を使います。4 つ目は時刻のズレを補正するためです。GPS 衛星には原子時計が搭載されていて、1 秒の誤差が 300 m の位置ズレにつながるため、時刻の正確さが極めて重要です。

GPS の精度 - どれくらい正確?

環境 精度
屋外 (空が開けた場所) 約 3〜5 m
都市部 (ビルの間) 約 10〜30 m (ビルの反射で精度低下)
屋内 ほぼ使えない (衛星の電波が届かない)
A-GPS (Wi-Fi/基地局併用) 約 1〜3 m

スマホは GPS だけでなく、Wi-Fi のアクセスポイントや携帯電話の基地局の情報も組み合わせて位置を特定しています。これを「A-GPS」(Assisted GPS) と呼びます。インターネットが位置情報を知る仕組みで詳しく解説しています。

GPS 以外の衛星測位システム

GPS はアメリカのシステムですが、他の国も独自の衛星測位システムを持っています。

システム 衛星数
GPS アメリカ 31 基
GLONASS ロシア 24 基
Galileo EU 30 基
BeiDou 中国 35 基
みちびき (QZSS) 日本 4 基

最新のスマホは複数のシステムを同時に使うことで、より正確な位置を特定しています。

GPS とプライバシー

GPS は便利ですが、位置情報はとてもセンシティブな個人情報です。

  • 写真の位置情報: スマホで撮った写真には GPS 座標が埋め込まれることがある。SNS に投稿すると自宅が特定されるリスクがある
  • アプリの位置情報権限: 地図アプリには必要だが、ゲームや SNS には「使用中のみ」に制限するのがおすすめ
  • 位置情報の履歴: Google マップのタイムラインは、過去の移動履歴をすべて記録している。不要なら設定でオフにできる

スマホのプライバシー設定を確認して、位置情報の共有範囲を見直しましょう。

GPS の意外な使われ方

  • 農業: トラクターの自動運転で、畑を数センチの精度で耕す
  • 地震観測: GPS で地面のわずかな動きを検出して、地震の予兆を捉える
  • スポーツ: ランニングウォッチが走った距離とペースを正確に記録
  • 時刻同期: 銀行の取引システムや携帯電話の基地局が、GPS の原子時計で時刻を合わせている

GPS の仕組みをもっと知りたい人は、GPS の仕組みの本がおすすめです。IP 確認さんでは IP アドレスからおおまかな位置を推定する仕組みも体験できます。

この記事の関連用語

GPS 人工衛星からの信号で位置を特定する技術。31 基の衛星が地球を周回し、世界中で無料で利用できる。 IP アドレス インターネット上の住所。GPS とは別に、IP アドレスからもおおまかな位置 (都道府県レベル) を推定できる。 プライバシー 個人の情報を他人に知られない権利。GPS の位置情報は特にセンシティブな個人情報であり、共有範囲の管理が重要。