モバイル / IoT セキュリティ

Bluetooth

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Bluetooth とは

Bluetooth とは、近距離で機器同士を無線接続するための通信規格です。スマホとイヤホン、キーボード、スピーカー、スマートウォッチなどの接続に広く使われています。ケーブル不要で手軽に接続できるのが最大の利点です。

到達距離は「約 10m」と紹介されることが多いものの、これは一つの目安です。Bluetooth SIG は到達距離を決める要素として、使用する物理層 (PHY)・受信感度と送信出力 (-20 dBm から +20 dBm)・アンテナ利得と経路損失を挙げ、条件によって 1m 未満から 1km 超まで振れると説明しています。イヤホンやマウスのような小型機器は送信出力が低く、間に人体や壁が入るとさらに短くなります。

バージョンによる違い

Bluetooth には、音楽再生やファイル転送に使う Classic (BR/EDR) と、低消費電力の LE (Low Energy) という 2 つの系統があります。機器のスペック表にある「Bluetooth 5 対応」も、どちらの系統の話かで意味が変わります。

Bluetooth 5 で加わった高速化と長距離化は、いずれも LE 側の物理層 (PHY) の拡張です。Bluetooth SIG の解説では、LE 2M PHY は 2 Ms/s で動作するが実装は任意、LE Coded PHY は送信出力を上げずに到達距離を Core 4.0 比で約 4 倍にできる、とされています。必須なのは従来の LE 1M PHY だけなので、バージョン 5 対応と書かれていても高速モードや長距離モードが必ず使えるわけではなく、これらが Classic 側の通信に適用されるわけでもありません。

ペアリングで何が確認されているか

ペアリングは機器をつなぐ操作というより、通信を暗号化する鍵を交換する手続きです。どう鍵を交換するかは機器の入出力能力で決まり、Just Works・数値比較 (Numeric Comparison)・パスキー入力 (Passkey Entry)・OOB という組み合わせ方式が定められています。

  • 数値比較: 両方の機器に同じ 6 桁の数字を表示し、一致しているかを利用者が承認します。第三者が間に割り込んでいれば数字が食い違うため、なりすましを検知できます
  • Just Works: 画面もキーもない機器で使われる方式で、相手が本物かを確かめる手順がありません。通信は暗号化されますが、相手は認証されないまま接続が成立します

イヤホンやセンサーのような画面のない機器は Just Works になりがちです。つまり「ペアリングできたから安全」ではなく、承認したその瞬間に何をつないだかを自分で把握できているかが分かれ目になります。心当たりのない要求を承認しないという注意は、この仕組みから来ています。

セキュリティリスク

Bluetooth には以下のセキュリティリスクがあります:

  • BlueBorne: 2017 年 9 月に Armis が公表した脆弱性群で、ペアリングを経ずに機器を乗っ取れる経路が含まれていました。Bluetooth の仕様そのものではなく各 OS の実装側の問題で、主要 OS には公表の前後に修正が配布されました
  • トラッキング: BLE のアドバタイズ信号を手掛かりに位置を追跡されるリスク。緩和策として、電波に載せるアドレスを定期的に付け替え、ボンディング済みの機器だけが専用の鍵 (IRK) で元の識別子に照合できる仕組み (Resolvable Private Address) が用意されていますが、これは機器側がこの機能を有効にしていて初めて働きます
  • 不正ペアリング: 知らないデバイスからの接続要求を承認してしまうリスク。前節のとおり Just Works では、承認した相手が意図した機器かどうかは確認されません
  • 紛失防止タグの悪用: BLE タグを持ち物に紛れ込ませて人の移動を追う使い方。Apple と Google は 2024 年 5 月に共同仕様 Detecting Unwanted Location Trackers に基づく通知を提供し、iOS 17.5 以降と Android 6.0 以降で、自分と一緒に移動している見知らぬタグを検知できるようにしました

安全に使うためのポイント

まず、心当たりのないペアリング要求を承認しないことです。要求元に表示される機器名は自由に付けられるため、名前で判断せず、自分が今その機器をペアリングモードにしたかどうかで判断します。数字が表示される機器なら、両側の 6 桁が一致しているかを必ず見ます。

次に、OS とデバイスのファームウェアの更新を当てておくこと。BlueBorne のように実装側の欠陥は、更新以外では閉じられません。使わなくなった機器のペアリング (ボンディング) を削除しておくのも、鍵を持ったままの機器を減らす意味があります。

「使わないときはオフにする」は、電波を出さなければ届かないという点では確実です。ただしイヤホンや時計を日常的に使うなら常時オフは現実的ではないため、上の 3 点を満たしているかを先に確かめるほうが実用的です。

Bluetooth の仕組みやバージョンごとの違い、セキュリティ上の注意点をより体系的に学びたい方は、Bluetooth とは? - 仕組み・Wi-Fi との違い・セキュリティを解説もあわせてご覧ください。

よくある誤解

Bluetooth は距離が短いから安全
到達距離は送信出力と周囲の環境で決まるため、条件が良ければ 10m を大きく超えます。混雑した電車やカフェのように近距離に他人がいる場面は日常的で、距離そのものを防壁と考えないほうが安全です。
ペアリング済みのデバイスは安全
ペアリングは通信を暗号化する鍵を交換する手続きで、方式によっては相手が意図した機器かどうかは確認されません。加えて、ペアリング済みでも機器側の実装の欠陥を突かれる余地は残るため、OS とファームウェアの更新が必要になります。

Classic Bluetooth と BLE の比較

Classic Bluetooth

音楽再生やファイル転送向け。消費電力が大きいが通信速度が速い。

BLE

IoT デバイスやセンサー向け。低消費電力でボタン電池でも数年動作する。

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