IP アドレス・ネットワーク

IP アドレス

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IP アドレスとは

IP アドレスとは、インターネットに接続されたすべてのデバイスに割り当てられる固有の識別番号です。手紙を届けるために住所が必要なように、インターネット上でデータを正しい相手に届けるために IP アドレスが使われます。

Web サイトを閲覧するとき、あなたのデバイスは自分の IP アドレスを相手のサーバーに伝え、サーバーはそのアドレス宛にデータを返送します。この仕組みがなければ、インターネット通信は成立しません。

IPv4 と IPv6 の違い

IP アドレスには 2 つのバージョンがあります。

IPv4
32 ビット構成で約 43 億個のアドレスを提供。192.168.1.1 のようにドットで区切られた 4 つの数字で表記される。現在もインターネットの主流だが、アドレスの枯渇が深刻な問題となっている。
IPv6
128 ビット構成で事実上無限のアドレスを提供。2001:0db8::1 のようにコロンで区切られた 16 進数で表記される。日本では NTT の IPoE 接続を中心に普及が進んでいる。

IPv4 のアドレスは 2011 年に IANA (管理団体) レベルで枯渇しており、新規割り当ては IPv6 への移行が前提となっています。ただし、NAT 技術により 1 つのグローバル IPv4 アドレスを複数デバイスで共有できるため、完全な移行にはまだ時間がかかる見込みです。

IPv4 枯渇と CGNAT の影響

IPv4 アドレスの枯渇は段階的に進行しました。2011 年に IANA の中央プールが枯渇し、アジア太平洋地域の APNIC は同年に通常割り当てを終了。北米の ARIN は 2015 年、欧州の RIPE NCC は 2019 年に在庫が尽きています。

この枯渇に対処するため、多くの ISP は CGNAT (Carrier-Grade NAT) を導入しています。CGNAT では数百から数千の契約者が 1 つのグローバル IPv4 アドレスを共有します。これにより、特定の IP アドレスから個人を特定することが従来より困難になる一方、IP アドレスベースのアクセス制限やレート制限が誤作動する問題が生じています。オンラインゲームのサーバーで「同一 IP からの多重接続」として誤 BAN されるケースはその典型例です。

グローバル IP とプライベート IP

IP アドレスは用途によって 2 種類に分かれます。

  • グローバル IP アドレス: インターネット上で一意に識別されるアドレス。ISP (インターネットサービスプロバイダー) から割り当てられ、外部のサーバーから見えるのはこのアドレスです。
  • プライベート IP アドレス: 家庭やオフィスの内部ネットワークで使われるアドレス (192.168.x.x10.x.x.x など)。ルーターの NAT 機能により、複数のプライベート IP が 1 つのグローバル IP を共有してインターネットに接続します。

「自分の IP アドレスを確認したい」という場合、通常はグローバル IP アドレスを指します。当サイトのトップページで表示される IP アドレスがそれにあたります。

IP アドレスから分かること

Web サイトにアクセスすると、あなたの IP アドレスからは以下の情報が読み取れます。

  • ISP (プロバイダー名): どの通信事業者の回線を使っているか (例: NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンク)
  • おおよその地域: 都道府県から市区町村レベルの位置情報。精度は ISP の設備配置に依存し、都市部では区レベル、地方では県レベルにとどまることが多い
  • 接続種別: 固定回線 (光ファイバー) かモバイル回線 (4G/5G) か、あるいは VPN やデータセンターからの接続か
  • AS 番号: IP アドレスを管理する組織のネットワーク識別番号。企業ネットワークからのアクセスかどうかの判別に使われる

逆に、IP アドレスだけでは個人の氏名・住所・電話番号は分かりません。これらの情報は ISP が保持しており、法的手続きなしに第三者へ開示されることはありません。

IP ジオロケーションの仕組みと精度

GeoIP (IP ジオロケーション) は、IP アドレスから地理的位置を推定する技術です。MaxMind の GeoLite2 や IP2Location などのデータベースが広く使われています。

位置推定の仕組みは、ISP がどの地域にどの IP アドレスブロックを割り当てているかのデータベースに基づきます。固定回線の場合、ISP の地域局舎の所在地が基準となるため、実際の所在地と数十 km のずれが生じることがあります。モバイル回線ではさらに精度が下がり、基地局のエリア単位での推定にとどまります。

精度の目安として、国レベルでは 99% 以上の正確性がありますが、市区町村レベルでは 50-80% 程度まで低下します。VPN やプロキシを経由している場合は、出口サーバーの所在地が表示されるため、実際の位置とは無関係な結果になります。

IP アドレスとプライバシー

IP アドレスからは国・地域レベルのおおよその位置情報を推定できますが、個人の住所や氏名を特定することはできません。ISP に開示請求を行えば契約者情報と紐付けることは理論上可能ですが、これには裁判所の令状が必要です。

プライバシーを強化したい場合は、VPNTor を使用して IP アドレスを隠すことができます。ただし、IP アドレスを隠してもブラウザフィンガープリントCookie による追跡は別途対策が必要です。

よくある誤解

IP アドレスで自宅の住所が特定される
GeoIP で分かるのは ISP の拠点レベル (市区町村程度) の情報です。個人の住所を特定するには ISP への法的な開示請求が必要で、一般人が IP アドレスだけから住所を割り出すことはできません。
IP アドレスを変えればネット上で完全に匿名になれる
IP アドレスはトラッキング手段の 1 つにすぎません。Cookie、ブラウザフィンガープリント、ログイン情報など、他の識別手段と組み合わせて追跡されるため、IP アドレスの変更だけでは匿名にはなれません。
IPv6 は IPv4 より安全
暗号化はプロトコルのバージョンではなく TLS 等の上位層が担います。IPv6 自体にセキュリティ上の優位性はなく、むしろ IPv6 固有の攻撃手法 (NDP スプーフィングなど) も存在します。

グローバル IP とプライベート IP の比較

グローバル IP

インターネット上で一意。ISP が割り当て。外部から直接アクセス可能。数に限りがある (IPv4)。

プライベート IP

ローカルネットワーク内でのみ有効。ルーターが割り当て。外部から直接アクセス不可。自由に使える。

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