スクリーンショットは「証拠」になるのか
SNS での誹謗中傷、オンラインショップの価格表示、取引先とのチャットのやり取り - トラブルが起きたとき、多くの人がまず「スクリーンショットを撮る」という行動を取ります。安全なオンラインショッピングのためにも、購入時の画面を記録しておく習慣は重要です。しかし、スクリーンショットは法的な証拠として認められるのでしょうか。
日本の裁判での扱い
結論から言うと、日本の裁判ではスクリーンショットは証拠として提出できます。ただし、その証拠としての「重み」は状況によって異なります。
- 証拠能力: スクリーンショットは「準文書」として証拠能力が認められる。裁判所に提出すること自体は可能
- 証明力: 改ざんが容易であるため、スクリーンショット単体では証明力が低いと判断される場合がある
- 補強証拠: 他の証拠 (サーバーのログ、通信記録、第三者の証言) と組み合わせることで証明力が高まる
つまり「証拠として出せるが、それだけでは弱い」というのが実情です。
スクリーンショットは簡単に改ざんできる
スクリーンショットの証拠としての弱点は、改ざんが容易なことです。
- ブラウザの開発者ツール: Chrome の「検証」機能を使えば、Web ページのテキストや画像をブラウザ上で自由に書き換えられる。書き換えた状態でスクリーンショットを撮れば、偽の証拠が作れる
- 画像編集ソフト: Photoshop や無料の画像編集ツールで、スクリーンショットの内容を改ざんできる
- HTML の保存: Web ページを HTML ファイルとして保存し、テキストを書き換えてからスクリーンショットを撮る
裁判の相手方が「このスクリーンショットは改ざんされている」と主張した場合、改ざんされていないことを証明する責任が生じます。
証拠としての信頼性を高める方法
- Web 魚拓を取る: 第三者のサービスがページを保存するため、改ざんの疑いが低い
- 動画で記録する: 画面録画でブラウザの URL バーからページの内容まで一連の操作を記録する。静止画より改ざんが困難
- メタデータを保持する: スクリーンショットの撮影日時、デバイス情報などのメタデータ (Exif 情報) を保持する
- 複数の方法で保存する: スクリーンショット + Web 魚拓 + ページの PDF 保存など、複数の方法で記録する
- 公証人による確認: 重要な証拠の場合、公証人にスクリーンショットの内容を確認してもらう「事実実験公正証書」を作成できる
SNS の投稿が消される前に
誹謗中傷や名誉毀損の証拠は、相手が投稿を削除する前に保全する必要があります。
- 発見したらすぐにスクリーンショットを撮る (URL バーを含めて)
- Web 魚拓サービスで保存する
- 投稿の URL、投稿者のアカウント名、投稿日時を記録する
- 可能であれば、第三者にも同じ投稿を確認してもらう
子どものインターネット利用においても、いじめや不適切なメッセージの証拠保全は保護者が知っておくべきスキルです。
IP 確認さんで確認できる IP アドレスも、誹謗中傷の発信者特定に使われることがあります。プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求では、投稿時の IP アドレスが重要な手がかりとなります。
まとめ
スクリーンショットは裁判で証拠として提出できますが、改ざんが容易なため単体では証明力が弱いです。Web 魚拓、動画記録、複数の保存方法を組み合わせて証拠の信頼性を高めましょう。
デジタル証拠の取り扱いを学びたい方には、デジタルフォレンジックの入門書が参考になります。