ダークモードブームの裏側

スマートフォンやパソコンの「ダークモード」は、ここ数年で爆発的に普及しました。iOS、Android、Windows、macOS、そして多くの Web サイトやアプリがダークモードに対応しています。「目に優しい」「バッテリーが長持ちする」「かっこいい」- さまざまな理由で支持されていますが、これらは本当でしょうか。

ダークモードは本当に目に優しいのか

結論から言うと、科学的な証拠は「場合による」です。

暗い環境では有利

夜間や暗い部屋でスマートフォンを使う場合、白い背景は眩しく感じます。ダークモードは画面全体の輝度を下げるため、暗い環境では目の疲れを軽減する効果があります。

明るい環境では不利な場合も

2024 年の複数の研究によると、明るい環境では「白背景に黒文字」(ライトモード) の方が読みやすく、読解速度も速いという結果が出ています。人間の目は、明るい背景に暗い文字を読むことに最適化されているためです。

また、暗い背景に明るい文字を長時間読むと、「ハレーション効果」(明るい文字が暗い背景ににじんで見える現象) が起きやすく、乱視の人は特に読みにくく感じることがあります。

ブルーライトとの関係

「ダークモードはブルーライトを減らす」と言われることがありますが、これは部分的にしか正しくありません。ダークモードは画面全体の光量を減らすため、結果的にブルーライトの総量も減ります。しかし、ブルーライトを選択的にカットしているわけではありません。ブルーライトを減らしたいなら、OS のナイトシフト機能 (色温度を暖色に変える) の方が効果的です。ブラウザ側でのセキュリティ対策に興味がある方は、ブラウザ分離の仕組みも読んでみてください。

バッテリーへの効果 - 画面の種類で全然違う

ダークモードがバッテリーを節約するかどうかは、画面の種類によって大きく異なります。

  • 有機 EL (OLED/AMOLED): 黒いピクセルは完全にオフになるため、ダークモードで大幅にバッテリーを節約できる。Google の調査では、最大輝度で最大 63% の節約効果
  • 液晶 (LCD/IPS): バックライトが常に点灯しているため、画面が黒でもバッテリー消費はほぼ変わらない

最近のスマートフォンの多くは有機 EL を採用しているため、ダークモードのバッテリー節約効果は実感しやすくなっています。ただし、古いスマートフォンや多くのノートパソコンは液晶のため、効果は限定的です。スマートフォンのプライバシー設定全般についてはモバイルプライバシーの解説も参考にしてください。

ダークモードの歴史 - 実は「元に戻った」だけ

コンピュータの画面は、もともとダークモードでした。1970〜80 年代のコンピュータ端末は、黒い背景に緑やオレンジの文字が表示されるのが標準でした。映画「マトリックス」で有名な緑の文字が流れる画面は、この時代の端末をモチーフにしています。

1984 年に Apple が Macintosh を発売し、「白い背景に黒い文字」という紙のメタファーを導入しました。これが「ライトモード」の始まりです。以来 30 年以上、白い背景が標準でしたが、2018 年頃からダークモードが復活しました。つまり、ダークモードは「新しいトレンド」ではなく「原点回帰」なのです。

Web サイトのダークモード対応

Web サイトがダークモードに対応するには、CSS の prefers-color-scheme メディアクエリを使います。ブラウザが OS のダークモード設定を検出し、自動的にスタイルを切り替えます。ちなみに、このダークモード設定もブラウザフィンガープリントの一要素として利用される可能性があります。

IP 確認さんもダークモードに対応しています。OS の設定を変更すると、自動的に配色が切り替わります。

まとめ

ダークモードは万能ではありません。暗い環境では目の負担を軽減し、有機 EL 画面ではバッテリーを節約できますが、明るい環境での読みやすさはライトモードに劣ります。「どちらが正解」ではなく、環境に応じて使い分けるのがベストです。

UI デザインとアクセシビリティを学びたい方には、UI デザインの入門書が参考になります。

この記事の関連用語

ブラウザ ブラウザが OS のダークモード設定を検出し、Web サイトに伝える。 Cookie 一部のサイトはダークモードの選択を Cookie に保存して次回アクセス時に反映する。 HTTPS ダークモードの設定は CSS で処理され、サーバーとの通信には影響しない。