IP アドレス・ネットワーク

IPv6

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IPv6 とは

IPv6 (Internet Protocol version 6) とは、インターネット上のデバイスを識別するための IP アドレスの次世代規格です。従来の IPv4 が 32 ビット (約 43 億個) のアドレス空間しか持たないのに対し、IPv6 は 128 ビットで約 340 澗 (3.4 × 1038) という事実上無限のアドレスを提供します。

IPv6 アドレスは 2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334 のように、コロンで区切られた 8 グループの 16 進数で表記されます。連続するゼロは :: で省略でき、各グループの先頭のゼロも省略可能です。一見複雑に見えますが、実際にユーザーが手入力する場面はほとんどありません。

IPv4 との主な違い

アドレス空間
IPv4 は約 43 億個で 2011 年に枯渇。IPv6 は事実上無限で、すべてのデバイスにグローバルアドレスを割り当てられる。
NAT の必要性
IPv4 ではアドレス不足を補うために NAT が必須。IPv6 では各デバイスが固有のアドレスを持つため、NAT が原則不要になり、エンドツーエンド通信が回復する。
ヘッダ構造
IPv6 はヘッダが簡素化され、ルーターの処理負荷が軽減。チェックサムフィールドが廃止され、フラグメンテーションは送信元でのみ行われる。
自動設定
IPv6 には SLAAC (Stateless Address Autoconfiguration) が組み込まれており、DHCP サーバーなしでもアドレスを自動取得できる。

日本での普及状況と IPoE 接続

日本は世界的に見ても IPv6 の普及率が高い国の 1 つです。NTT 東西の NGN (次世代ネットワーク) を基盤とした IPoE (IP over Ethernet) 接続が普及の原動力となっています。従来の PPPoE 接続では NTE (網終端装置) がボトルネックとなり、夜間の混雑時に速度が低下する問題がありましたが、IPoE では NGN に直接接続するため、この混雑を回避できます。

実際に、IPv6 IPoE に切り替えたことで夜間のダウンロード速度が数十 Mbps から数百 Mbps に改善したという報告は珍しくありません。ただし、IPv6 IPoE の恩恵を受けるには、対応するルーターと ISP の契約が必要です。

自分の接続が IPv6 に対応しているかは、当サイトのトップページで確認できます。IPv6 アドレスが表示されていれば、IPv6 で接続されています。

IPv6 とプライバシーの課題

IPv6 では各デバイスにグローバルアドレスが割り当てられるため、NAT の背後に隠れていた IPv4 時代と比べて、デバイスの追跡が容易になるという懸念があります。特に、MAC アドレスから生成される EUI-64 形式のアドレスは、デバイスを一意に識別できてしまいます。

この問題に対処するため、RFC 8981 で「一時アドレス (Privacy Extensions)」が規定されています。Windows や macOS、Linux の主要ディストリビューションではデフォルトで有効になっており、外部通信には定期的に変更される一時アドレスが使用されます。

それでも、IPv6 アドレスのプレフィックス部分 (/64 や /48) は ISP から割り当てられた固定値であるため、VPN を使わない限り、ネットワーク単位での追跡は可能です。DNS の問い合わせ先にも注意を払い、DNS over HTTPS の併用を検討しましょう。

よくある誤解

IPv6 にすればインターネットが速くなる
IPv6 自体が高速なわけではありません。日本で体感速度が向上するのは、IPv6 IPoE 接続により PPPoE のボトルネックを回避できるためです。IPv6 でも PPPoE 接続なら混雑の影響を受けます。
IPv6 は IPv4 より安全
IPv6 の仕様に IPsec のサポートが含まれていますが、実際の暗号化は TLS など上位層が担います。IPv6 固有の攻撃手法 (NDP スプーフィング、RA フラッド等) も存在し、IPv6 だから安全とは言えません。

IPv4 と IPv6 の比較

IPv4

32 ビット。約 43 億アドレス。ドット区切りの 10 進数表記。NAT が必須。枯渇済みだが依然として主流。

IPv6

128 ビット。事実上無限のアドレス。コロン区切りの 16 進数表記。NAT 不要。日本では IPoE 経由で普及が進行中。

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