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スプリットトンネリング
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最終更新: 2026-03-25
スプリットトンネリングとは
スプリットトンネリングとは、VPN 接続時に、一部の通信だけを VPN トンネル経由にし、残りの通信は通常のインターネット接続を使う技術です。
通常の VPN 接続 (フルトンネル) では、すべてのインターネット通信が VPN サーバーを経由します。これはセキュリティ面では理想的ですが、VPN サーバーの帯域を消費し、速度が低下する原因になります。スプリットトンネリングを使えば、保護が必要な通信だけを VPN 経由にし、動画視聴やゲームなど速度が重要な通信は直接インターネットに接続できます。
スプリットトンネリングの種類
アプリベース
特定のアプリケーションの通信だけを VPN 経由にする (または除外する)。例: ブラウザは VPN 経由、動画アプリは直接接続。多くの VPN アプリが対応。
URL / ドメインベース
特定のドメインへの通信だけを VPN 経由にする (または除外する)。ブラウザ拡張機能で実現されることが多い。
IP アドレスベース
特定の IP アドレス範囲への通信を VPN 経由にする。企業の VPN で社内ネットワーク (例:
10.0.0.0/8) への通信だけをトンネリングする場合に使用。「インバーススプリットトンネリング」という方式もあります。これはデフォルトで全通信を VPN 経由にし、指定したアプリや宛先だけを除外する方式です。セキュリティの観点では、通常のスプリットトンネリングよりも安全です。
メリットとユースケース
スプリットトンネリングが有効な場面を具体的に紹介します。
- リモートワーク: 社内システムへのアクセスは VPN 経由、Web 会議や動画視聴は直接接続。VPN サーバーの負荷を軽減し、社内システムの応答速度も改善。企業の IT 部門が最も多く導入するユースケース。
- ローカルデバイスへのアクセス: VPN 接続中でも、同一ネットワーク上のプリンターや NAS にアクセスしたい場合。フルトンネルではローカルネットワークへの通信も VPN 経由になり、ローカルデバイスに到達できないことがある。
- 帯域の最適化: 大容量のダウンロードやストリーミングを VPN から除外し、VPN の帯域を業務通信に確保。
- 地域制限のあるサービス: 海外の VPN サーバーに接続しつつ、国内限定のサービス (銀行、行政サービスなど) には直接アクセス。
セキュリティ上の注意点
スプリットトンネリングは利便性と引き換えにセキュリティリスクを伴います。
- VPN 外の通信は保護されない: VPN トンネルを経由しない通信は暗号化されず、実際の IP アドレスが接続先に見えます。公共 Wi-Fi でスプリットトンネリングを使うと、除外した通信が傍受されるリスクがあります。
- DNS リークのリスク増大: VPN 外の通信が ISP の DNS サーバーを使用すると、閲覧先の情報が ISP に漏洩します。
- キルスイッチとの相互作用: スプリットトンネリングとキルスイッチを併用する場合、キルスイッチが VPN 外の通信をどう扱うかは VPN アプリの実装に依存します。設定を確認し、意図した動作になっているかテストしましょう。
セキュリティを最優先する場面 (機密情報の取り扱い、公共 Wi-Fi の利用) ではスプリットトンネリングを無効にし、フルトンネルを使用することを推奨します。VPN プロトコルに WireGuard を選択すれば、フルトンネルでも速度低下を最小限に抑えられます。
よくある誤解
- スプリットトンネリングは危険だから使うべきではない
- 適切に設定すれば、セキュリティと利便性を両立できる有用な機能です。企業の IT 部門でも広く採用されています。重要なのは、保護が必要な通信を確実に VPN 経由にし、除外する通信のリスクを理解した上で設定することです。
- スプリットトンネリングを使うと VPN の意味がなくなる
- VPN で保護したい通信 (業務データ、機密情報) は引き続き暗号化されます。動画視聴やソフトウェアアップデートなど、保護の必要性が低い大容量通信を除外することで、VPN の帯域を本当に必要な通信に集中させられます。
フルトンネルとスプリットトンネルの比較
フルトンネル
全通信を VPN 経由。セキュリティ最大。速度低下あり。ローカルデバイスへのアクセスに制限。設定がシンプル。
スプリットトンネル
選択した通信のみ VPN 経由。速度と利便性を確保。VPN 外の通信は保護されない。設定に注意が必要。